荒野草途伸・年齢の秘密


ここでは、荒野草途伸という人物の年齢について解説する

 公式には、荒野草途伸の年齢は知らされていない。対外的に「年齢不詳」と伝えられている、その通りである。数年前まで某国立大学に在籍していたことから、それくらいの年齢であることは推察できると思うが、これにしたところで30代の大学生が現実に存在することを考えれば、推測にかなりの幅を持たざるをえないと言えるだろう。
 年齢というものは、一般的に数値によって表現される。このような状況に於いて、「自分26」「自分18」などと言い合っている中へ「自分年齢不詳」という風に、いきなり漢字四文字を出しても、奇妙な違和感が残るだけである。そこで荒野草途伸は、このギャップを少しでも埋めるべく、「年齢不詳」という言葉を数式化して表現することが往々にしてある。

以下に示す式は、最近まで使われていたものである

(20±8i)×N

 Nは、任意の実数である

しかし、この式では実際の正確な年齢を算出できないという、重大な欠陥がある。「年齢不詳」という言葉自体には忠実であるが、相手とまじめに話をしているときには著しい不都合を招く結果になりかねない。そこで修正が加えられたのが、次の式である。

     28(N−1)
{20+        }N
     3N(N−2)

 なお、ここで細部の説明を行う。
上記の年齢は実部と虚部に分かれているが、実部というのは、いわゆる世で言うところの年齢である。問題は虚数部であるが、これは「荒野草途伸」という人格が形成されてからの年数を表している。
 実際の処、今まで対外的に行われてきた説明では、まず初めに「荒野草途伸」という人物が存在し、それが日本国内において生活するのに都合がよいよう「い<検閲>」という偽名を使って生息している、というのが実体とされてきた。しかし、実際の処「荒野草途伸」と「い<検閲>」は、同じ殻を共有する別人格であり、各ライブラリを共通利用することによってより効率的な頭脳資源利用を可能にした疑似マルチタスクオブジェクト指向生命体であることが判明している。
 この傾向が現れ始めたのが、いわゆる思春期と呼ばれる時期であり、この時期に一般的地球人は第二次性徴が現れ、親に金属バットで殴りかかったりするわけだが、ここでバギ星人という人格が形成され出すというのは、これからの太陽系人類にとってきわめて注視すべき事例であるといえよう。
 このように、ある一人の年齢を見ただけでもこれだけのことがわかるのである。年齢というのは実に奥が深いものだ


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