飲み頃アップル
美味くはなかった。しかし、とにかく安かった。それがこの飲料に対する記憶である。
貧乏学生にとっては、飲み物一つ買うのにも苦渋の選択を強いられる。特に、「今日は朝が少なかったからパンを一つ追加しよう」というときには、その埋め合わせをするべく飲み物を250mlタイプに格下げするかどうか、非常に悩むことになるのだ。
そんなときにあらわれたのが、この飲み頃アップルであった。「販売記念」と銘打ってはいたものの、500mlタイプ一本80円という値段は、我々を魅了するのに十分であった。私はこれが販売された一年間、これを飲み続けた記憶がある。姉妹品としてグレープフルーツがあったような気がするが、いつの間にか無くなってしまったのは時代の流れだろうか。
結局この商品は一年以上発売されるロングセラーとなり、値段を表示するラベルは「発売記念」から「一周年記念」に変わっていた。しかし、このラベルが消えたときが彼の寿命であった。なにしろ、安い以外の長所がなかったのだ。そういう意味では、これはデフレの波に翻弄された不幸な商品といえるかもしれない。
種別 | 清涼飲料 |
販売元 | 沖縄明治乳業 |
販売期間 | 1996年6月〜1997年10月 |
値段 | 500ml:\80 946ml:\180 |